人類最古の布

皆さん こんにちは 菅家です。

今回はmirror mayがほとんどのアイテムで使用している「麻」についてお話ししていこうかなと思います。

 皆さんの生活において最も身近な布はなんですか? おそらく「綿」ではないでしょうか。しなやかでクセがなく扱いやすい綿が、皆さんと生活を多く共にしている現代ですが、実は人類歴史において最も古くから生活を共にしてきた布は「麻」なんです。

繊維として麻が見つかったのはおよそ30000年前、服としての麻は、およそ5000年前に発見されているそうで、シルクが用いられる前は王族のドレスから一般市民の服まで全て麻で作られていたそうです。ミイラを巻いていた布も麻です。日本も同様で、江戸時代までは庶民は麻の服、貴族はシルクを着用していたそうです。綿よりもシルクの歴史のほうが古いというのもおもしろいですよね。

紡績技術などなく、細く繊細な繊維を織ることが困難な当時において、繊維が太く丈夫な麻は人々の生活において必需品だったに違いありません。そんな麻も時代と共に紡績技術が発達するにつれ、人々の生活の中心からは外れていったわけです。

正直なところ、便利な素材が増えた現代において、もはや麻は生活に欠かせない素材ではないかも知れません。繊維が太く丈夫ですが、そのぶんシワがつきやすく表情が変わりやすい。そのうえ現代の服地においては高価な素材となっております。さすがに人々の生活を太古から支えた素材だけあって、暑さと寒さどちらにも対応できる理にかなった素材ではあるんですが、それならば夏はポリエステルが入ったTシャツを着ればいいし、冬はダウンが入ったアウターを着るといった素材の使い分けをすればいいわけです。

僕自身、今この時代において多くの人の生活を支えるのはそういった素材で然るべきだと思ってます。それでも、洋服をファッションとして楽しんだり、芸術に触れようと思った時、その上で大切なことは「ムダや不便を楽しみ愛せるか」だと思っているので、mirror mayでは麻を主素材として服作りをしております。(おそらく田邊は田邊で全く違う理由で麻を使っていると思います…笑) 

前時代の素材である麻と、当時では考えられなかったようなデザインを掛け合わせることは、過去と現在で文化交流をしているようでワクワクします。なにかとスローペースな僕ですが、「古くて新しい」そんな服を皆さんにお見せしてまいりますので、気長に追っていただけたらと思います。

悠久の彼方から存在し、布の化石と言っても過言ではない「麻」。

いまいちど愛でてやってみてください。

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